鎮魂の法とは、霊学の根本で、天から授かった神法であり、この世とあの世を貫く学則である。
身を修める基本であり、目に見えない無形の神界の秘事を探知する基礎となるものである。
この秘法は自在に霊魂を操作できるようになり、
悪い霊を追い払い、心を充実させ、運気が好転し、何事も運ぶようになる。
「鎮は安なり、人の陽気を魂といふ、魂は運なり。言ふは離遊の運魂を招きて身体の中府に鎮む。故に鎮魂(おほみたまふり)といふ」
「鎮は安なり」は、「鎮」を「安じて鎮める」という意味。安心などというときの「安」と同じ意味。
「陽気」というのは、古くから伝わる鎮魂秘辞に、
「あめのほのけを ながみにいれ・・・・・」とある天の火の気のことである。
すなわち「陽気」は、宇宙にあまねく存在する「気」の一種で、
古神道では、「つちのみずのけ」という語と対をなすものだという。
魂とは人心中にある奇びなる精神のことで、霊妙な精神のことをいう。
つまり、人智でははかり知ることのできないほど、すぐれた心の働きのことをいうのだろう。
「運は魂なり」というのは、魂が「気」の中をめぐり、生成化育する様子のことをいう。
化育とは、天然自然が万物を生じ、育てることである。
人は、霊魂を神から与えられ、この世に生まれてくる。
そして、諸々の修行を行うことによって、天神の息吹をさらにいけると、
心身ともに充実し、整ってくるという。
「離遊の運魂を招きて」というのは、浮遊離散していく自分の魂を、招いて鎮めるというだけでなく、
同時に、万物を生かしている神の霊を我が身に招くことである。
こうして招いた魂を「身体の中府」に鎮める。
それによって、神から与えられて生まれた自分の魂を、いよいよ大きくするのである。
「中府」とは、いわゆる「丹田」のことである。
臍の(へそ)の下の下腹部にあたるところである。
古来、ここに力を入れることによって、霊力が増すといわれている。
鎮魂とは、要するに、宇宙にあまねく存在する神の「気」を丹田に招き鎮めることで、
自らの霊魂を充実させ、その霊性、霊能力を十分に発揮させることである。
それによって、邪気を祓い、悪霊を鎮め、自己に憑いた霊を除霊できるようになる。